ワ-グナー:管弦楽曲集
「さまよえるオランダ人」序曲、「ジークフリート」からジークフリートラインの旅、「神々の黄昏」からジークフリート葬送行進曲(A面)、「パルシファル」から抜粋(B面)
カール=ムック指揮
ベルリン国立歌劇場管弦楽団(A面) Recorded:1928-32
バイロイト歌劇場祝祭管弦楽団(B面) Recorded:1927
バイロイト歌劇場祝祭管弦楽団(B面) Recorded:1927
100年以上も昔に活躍した名指揮者カール=ムックの限られた一枚である。録音状態も良好とは言えず、演奏の善し悪しは問うべきではない。歴史的な価値を認めたい盤である。1859年ドイツのダルムシュタット生まれ、ウィキペディアのWebページを見たところ、あのグスタフ=マーラーの一つ年上というから、逆にマーラーも長生きしてくれれば何かしらの演奏録音を残せたわけである。そんな時代の録音である。名盤というよりは珍盤に近い。しかもどういうわけかソビエト国営レコード会社が前身であるレーベル、メロディアから発売されたもの。さてどういう経緯でここから世に出たのであろう。どなたかに教えを請いたい。
彼の演奏を聴いて実直と言われれば、その通りだと思う。バイロイトの経歴は長く、その後期は主としてパルシファルを任されていたようだが、どういうことかこのパルシファルに関してはだいぶ古い録音でも意外と“聴ける”のである。この盤での押しはこれである。状態は悪いが少し我慢して聴き続けてみると、今より演奏にメリハリを感じてしまうのは、私だけに限ったことであろうか。合唱はより勇ましく、弦も生々しく、金管楽器も意外と吹き抜けていて、気がつくと自身、高ぶった気持ちを抱いてしまうのは何故であろう。