ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68『田園』

カール・シューリヒト指揮 パリ音楽院管弦楽団

 

 

 

「でんえん」に置かれていたカール=シューリヒトが指揮するベートーヴェンの交響曲全集はEMI盤であったと思う。パリ管とのコンビで全曲を残しているが、録音が良ければこれは名盤として名を連ねたに違いない。いかにも彼らしいと言える軽快なテンポや歯切れの良さは3番や7番に特徴的に現れているが、実は6番も侮れない。豊かな音色は彼の流暢なタクトさばきを脳裏に描かせる。じっくりと聴いても疲労を感じさせない。全体的に安堵感を伴う印象を持つ。

 

 
フランク:交響曲ニ短調

オットー・クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

 

 

 

交響曲ニ短調は指揮者によって個性が出やすいが、それはそれで面白いものだ。あえて挙げるとすればクレンペラーであろうか。短調部における谷底にずっしりと落とされる不安感がより大きい。そこから転調による上昇幅がより大きく感じるのはこのせいであり、この落差に指揮者の曲に対する深い見識を思い馳せてしまうのである。「でんえん」に置かれたレコードはウィレム=メンゲルベルクがコンセルトヘボウ管を指揮するテレフンケン盤だったはずであるが、これも甲乙捨てがたい名盤である。

 

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