マーラー:交響曲第3番ニ短調
ヤシャ・ホーレンシュタイン指揮 ロンドン交響楽団
ワンズワース・スクール少年合唱隊 アンブロシアン合唱団
数ある交響曲の中でも最長と言われる。私は‘80年代のマーラーブームに“乗ってしまった”世代である。若年でマーラーを聴くと虜になってしまう。今でもどの作品を聴いても好きな部分では目を潤ませてしまう。曲が身体の中に染み付いて時に疼くのだ。ホーレンシュタインが指揮をした盤は恥ずかしながらこの一枚しか持っていない。それでもあえて押したいのはブルーノ=ワルターに並ぶほどのマーラーの真の初期理解者であったと言われるからだ。特に最終の6楽章にこだわりたい。曲を締めくくる指揮者の有り様が、何やら人の人生を描いているように思えてくる。ややもすれば長大ではあるが故に、LP発売ともなると敬遠されてきたこの作品が、実に真の理解者たる彼の代表作として残っていることも興味深いことである。
ダンディ:フランス山人の歌による交響曲
ロベール=カザドゥジュ(P)
オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団
ヴァンサン=ダンディはフランクの高弟子でありサティなどを門下に持つ。師匠と同じくワーグナーの影響が強い。この作品は彼の代表作であるがとても愉快で面白い曲と言っていいだろう。交響曲とされるが中身はピアノ独奏部の印象が強く、それでいて協奏曲的な要素が感じられない。そして3楽章の転調と循環形式は耳に残り、聴く者を惹きつけて止まない。このカサドシュ独奏の1枚だけを所有し聴き続けたが一応満足している。されど今後は機会があればチッコリーニなど他の録音を一度聴いてみたいと思っている。
〈吉祥寺『バロック』①へ戻る〉